アクリルゴム(ACM)とアクリル樹脂の違いを徹底解説|用途・特徴・選び方の完全ガイド
「アクリルゴム(ACM)」と「アクリル樹脂」。名前は似ていますが、性質も用途も大きく異なります。この記事では、両者の違いをわかりやすく整理し、実際の利用シーンやメリット・デメリットまで掘り下げて解説します。ものづくり現場や製品開発において、正しい材料選択を行うための知識を網羅的に提供します。
目次
アクリルゴム(ACM)とは何か
アクリルゴム(ACM)は、アクリル酸エステルを主成分とした合成ゴムです。高温環境下でも安定した性能を維持できることから、自動車部品や工業用途で広く利用されています。
- 主成分:アクリル酸エステル
- 耐熱性:150〜180℃の連続使用が可能
- 用途:自動車用ホース、シール材、耐油部品
詳しい耐熱性の性能はアクリルゴムの耐熱性に関する解説記事で紹介しています。
アクリル樹脂とは何か
アクリル樹脂は、メタクリル酸メチルを重合して得られる熱可塑性樹脂です。透明性と耐候性に優れ、日用品から建材、ディスプレイまで幅広く用いられています。
- 主成分:メタクリル酸メチル(MMA)
- 特徴:ガラスのような透明性、耐候性
- 用途:看板、ディスプレイ、窓材、レンズ
アクリルゴムとアクリル樹脂の比較
両者の違いを以下の表にまとめます。
| 項目 | アクリルゴム(ACM) | アクリル樹脂 |
|---|---|---|
| 主成分 | アクリル酸エステル | メタクリル酸メチル |
| 物性 | 柔軟性・耐熱性・耐油性 | 硬く透明、耐候性が高い |
| 用途 | 自動車部品、シール、耐油ゴム | 看板、窓材、レンズ、建材 |
| 温度耐性 | 150〜180℃ | 80〜100℃程度 |
実際の利用シーンの違い
自動車産業での活用
自動車のエンジン周辺では高温環境に耐える必要があるため、アクリルゴムが多用されます。特に燃料ホースやオイルシールに利用され、耐油性・耐熱性が求められます。
建築・日用品分野での活用
アクリル樹脂は透明性と加工性を活かし、窓材やサインボード、家具などに採用されます。耐候性に優れているため、屋外使用にも適しています。
選び方のポイント
- 耐熱性が必要な場合:アクリルゴム
- 透明性・デザイン性を重視:アクリル樹脂
- 油との接触がある部品:アクリルゴム
- 屋外での長期使用:アクリル樹脂
用途に応じた選び方については材料選定のポイントを解説した記事でさらに詳しく紹介しています。
よくある質問
Q. アクリルゴムとアクリル樹脂のリサイクル性はどう違いますか?
アクリル樹脂は熱可塑性樹脂なので再溶融して再利用できますが、アクリルゴムは加硫処理された合成ゴムであり基本的にリサイクルは困難です。用途に応じた材料の選び方については材料選定のポイント解説で詳しく紹介しています。また、規格やリサイクル基準の詳細はJIS規格関連をご参照ください。
Q. アクリル樹脂は屋外使用で黄ばみやすいですか?
アクリル樹脂は透明性と耐候性に優れており、他のプラスチックより黄ばみにくいですが、長期の紫外線曝露では多少の劣化が起こります。耐候グレードを用いることで改善可能です。
Q. アクリルゴムとフッ素ゴムの使い分けはどう考えればよいですか?
アクリルゴムは150〜180℃程度までの耐熱性と耐油性を持ち、自動車部品などに適します。一方、フッ素ゴムはさらに高温環境や薬品に対して優れていますが、コストは高めです。
まとめ
アクリルゴム(ACM)とアクリル樹脂は、同じ「アクリル」を冠するものの性質も用途も異なります。両者の特徴を理解し、正しく選択することで製品の品質と寿命を大きく左右します。今後の材料選びの参考にしてください。

